はじめに
国内市場が成熟化し、人口減少が進む日本にとって、台湾は地理的・文化的に近く、魅力的な“海外消費市場”の一つです。本コラムでは、台湾の消費トレンド、台湾のインバウンド・越境EC・ローカル消費者の動き、そして日本企業としてどのように進出・展開すべきかを分析します。
1.台湾消費市場の特徴
台湾の人口は約2300万人規模ですが、購買力・消費意欲ともに高く、日本ブランド・日本品質への信頼感が根強いのが特徴です。旅行経験が多く、情報収集も活発で、SNS・インフルエンサーを通じた情報発信・共有が消費行動に影響を与えています。
また、台湾の消費者は「体験価値」「安心・安全」「ブランド・デザイン」に敏感で、“価格だけ”では競争が難しい状況です。日本企業が台湾市場に参入するには、差別化された価値提供が求められます。
2.消費トレンド:デジタル・健康・ローカライズ
(1)デジタルトランスフォーメーション(DX)とオンライン購買
台湾ではEC普及率が高く、モバイル決済・キャッシュレス決済・O2O(Online to Offline)サービスが広がっています。特に若年層や都市部ではSNSを通じた商品発見から購入・レビュー・共有までのサイクルが確立されつつあります。したがって、日本企業が台湾で消費者向け事業を行う場合、オンラインチャネル・SNSマーケティング・越境ECの活用が鍵です。

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(2)健康・ウェルネス志向の高まり
台湾の消費者は健康・美容・ウェルネスに対して関心が高く、日本からの健康食品(※許認可注意)、スキンケア、機能性食品、美容機器などの人気があります。これらについては、台湾の法制度・輸入通関・表示規制・現地マーケティングをしっかり押さえることが重要です。
また、台湾では“地産地消”や“環境配慮型”価値も消費者の意識に上がっており、エコパッケージ・サステナブル製品の拡大も見られます。

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(3)ローカライズと“台湾らしさ”の融合
単に日本で成功した商品をそのまま台湾に持ってくるだけでは十分ではありません。台湾消費者の嗜好・流行・文化を理解し、商品企画・パッケージ・プロモーションを台湾市場向けにローカライズすることが成功のカギです。たとえば、台湾で人気の色・デザイン・流行ワード・SNSトレンドを取り入れたバージョンを展開する企業も増えています。
3.日本企業が台湾市場で展開するための戦略
(1)クロスボーダー&越境ECモデルの検討
台湾は地理的に近く、文化言語的にも日本に比較的親和性がありますため、まずは越境ECで台湾消費者に試してもらう「軽めの参入」モデルが有効です。その後、反応を見て台湾法人設立・現地物流体制構築を検討するステップもあります。重要なのは、物流・配送・決済・返品対応・現地カスタマーサポートを整備することです。ここで、台湾現地支援(通訳・翻訳・物流代行・出荷代行)のサービスを活用する意義があります。

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(2)現地パートナーとの協業・販路設定
台湾の消費市場においては、現地流通チャネル(デパート・小売/ドラッグストア/コンビニ/オンラインマーケットプレイス)と協業することが効果的です。特に、台湾では “コンビニ文化” が強く、商品を手にとる機会としてのコンビニ陳列、また街中ポップアップ店・期間限定ショップも有効な戦術です。さらに、台湾人インフルエンサー・KOL(Key Opinion Leader)を活用したPR・SNS展開も今や必須です。

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(3)店舗+体験型マーケティングの活用
台湾では“体験”への価値が高まっており、商品販売だけでなく「ブランド体験」「サービス付き」の展開が有効です。日本発ブランドが台湾でポップアップイベント、ワークショップ、体験型キャンペーンを実施するケースが増えています。また、台湾人訪日経験も多いため、日本ブランドのバックストーリー・“日本らしさ”を伝えるコンテンツ設計は有効です。

ポップアップ(POPUPイベントのサポート実績2025年)
4.事例紹介(仮想シナリオ)
例えば、日本のナチュラルコスメブランドが、台湾でリサーチを実施。台湾の20〜30代女性の肌悩み/トレンド感をヒアリングし、台湾限定パッケージを開発。台湾ECモールに出店し、初年度は越境モデルで展開、次年度には台北にポップアップ店舗を開設。通訳・翻訳・物流・現地PRをナカズオフィスが支援、検品・出荷・倉庫代行も組み込む…というような成功パターンが現実的です。
こうした流れでは、現地調査・プロモーション・物流設計・販路開拓の各フェーズを、現地の専門支援サービスと連携して進めることが、リスク低減にもなります。
5.台湾進出にあたっての留意点
輸入表示・規制:特に化粧品・健康関連・食品には台湾独自の規制があります。認証や翻訳表示、広告表現などを事前に確認する必要があります。

衣類・化粧品等の輸入規制に関するレポート
ブランド/コピーライト:台湾では日本ブランドの模倣品・安価版も出ており、ブランド保護・商標登録を早期に行うことが望ましいです。
Naka’sOfficeでは台湾・中国での、商標登録の申請サポートも行っております。
消費者行動の多様化:一都市集中ではなく、台北だけでなく地方都市の消費動向にも目を配るべきです。
為替・物流コスト:近年、世界的な物流コスト上昇・為替変動も台湾市場参入時のコスト要因となっており、価格設計・利益シミュレーションで慎重に設計する必要があります。
6.まとめ
台湾の消費市場は、地理的・文化的に日本企業にとって親和性が高く、また消費者の価値志向が明確であるため、上手に戦略を設計すれば十分に魅力ある市場です。日本企業が台湾で展開を検討する際には、オンライン・オフライン両チャネル、ローカライズ、消費体験、物流体制、現地パートナー連携を複層的に設計することが鍵です。ナカズオフィスは、通訳・翻訳・市場調査・代行・物流サポートなど、台湾でのビジネスをトータルに支援しておりますので、ぜひご相談ください。
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